「遅れてごめんっ!」
「全然大丈夫!!」
「材料買ってきたから!
早速、私の家向かおっか!」
「分かった!ありがとうね。」
「うんっ」
待ちに待った、つばさちゃんとのクッキー作り!
楽しみすぎる!!
「つばさちゃんの家初めてだ!」
「汚いから、あんまり期待しないでね」
「いやいや〜」
つばさちゃんは女子力ありまくりだから、ピンク色の女の子らしい部屋だろうなぁ。
「そろそろ着くよー」
「そろそろ?」
「うん」
え、すごーい都会なんですけど。
一軒家などない、周りはビルばかり。
洋服屋さんのタイムセールの声や
路上ライブをしている人の歌声が飛び交う、この街はこの辺りで唯一の都会。
「この路地を超えたら、もう家だよ」
「す、すごい賑わってるね」
正直、賑わってるどころじゃない。
すごくうるさい。
昼にもかかわらず、薄暗い細い路地を抜けると
先程とは一変。静かな場所に出た。
この路地 1本でこんなにも変わるなんて・・・
「このマンションだよ」
「ここ?」
「うん。」
ざっと見て8階くらいあるのだろうか、
他のマンションと比べて申し訳ないけど、少し古びたマンションだ。
「何回に住んでるの?」
「5階だよ!」
「ほぉ・・・」
扉を押して中に入ると、つばさちゃんは慣れた手つきでパスコードを解く。
「入って」
5階までエレベーターで上ると、すぐ右に曲がったところが、つかさちゃんの部屋だった。
「お邪魔します・・・」
