「あっ、日向ちゃん!
あそこ知ってる?カラオケ!!」
「さ、流石にそれは知ってるよ!バカにしすぎ」
「あははっ(笑)ごめん。」
「でも、行ったことはないな。。。」
「歌うの好き??」
「うーん。普通かなぁ・・・」
「じゃ、行くか!」
「えっー!!!」
私は優希に手を引かれ都会の人混みの間を縫って走る。
息が上がるくらいに全速力で優希の背中を追いかけた。
正午
「よしっ、歌うか。」
「ま、待って。お腹すいた。
やっぱ入るんじゃなかった。」
「大丈夫!!カラオケにはご飯だって売ってるから!!」
「えっ??」
「これ、メニュー表!
そこに電話あるから・・・
んあ〜、嘘なんでもない
決めれたら俺に言って!電話するから!」
「分かった。ありがとう」
優希は人に慣れてない私に気を使って電話までしてくれるというのだ。
私は優希が一曲歌っている間に食べたいものを決めた。
「ポテトと・・・
ら、ラーメンッ!!」
「なんか意外だね。」
「そう?」
「うん。和食ばっか食べてそう!」
「そんなことないよ〜!!」
優希もメニュー表とにらめっこし始めた。
「・・・あ、日向ちゃんも歌ってていーよ」
「ゆ、優希みたいに上手く歌えないよ?」
「うん。気にしないで歌って!俺注文しとくから」
「うん!」
私が選んだ曲は今流行り・・・って感じではなくて、一昔前にお母さん世代の間で流行ったあの曲。
「えっ、この曲って
1990年代の曲?だよね??」
「うん」
「今から歌うの??」
「うん」
「日向ちゃんが?」
「うん」
優希はきっと、こんな根暗な女が恋愛ソングを歌うなんて想像もできないくらいにびっくりしているんだろう。
