「あっ、これいーじゃん。」
「ウサギ・・・?」
「うん」
優希が見つめているのは、何やらガラス張りの箱に閉じ込められたウサギのぬいぐるみ。
優希、ウサギ好きなんだ・・・!
「よし、これやるか。」
やる??何を???
優希は百円玉を隙間に入れてボタンをカチカチと押し始めた。
「え、なにこれ」
「クレーンゲームだよ」
「こ、これが!?」
「うん」
喋りながら器用に動かす手はだいぶ慣れているようだった。
「よっしゃ!!!」
「わっ!」
優希の手ばっか見てたからゲットしてるの気づかなかった。
「見てた???」
「ごめん。見てない」
「えーっ!せっかく上手くいったのになぁ。」
「ごめんごめん。」
「二回言ったってことは思ってない・・・!」
「思ってるよー!」
優希の肩を叩きながら笑ってる自分に驚いてる自分。
だって何日前までかは、
日陰が似合うような女で
誰とも関わらず
笑ったりなんかしなかったのに
こんなに人の前で笑ってるなんて・・・
「はいっ、」
「え?」
「これあげる。」
「私に?」
「日向ちゃん以外に誰がいるの?」
「そう、だけど。
本当にいいの?」
「うん」
ゲットして、あんだけ喜んでたのに私なんかがもらっちゃっていいのかな。
なんて思ってもみたり。
「ありがとう」
「どーいたしましてー」
