「ナイス、運動神経の良さは小さい頃から変わらないね。」

「そんな事ないよ。陽葵こそよくあの難しいボールを拾えたね。」

体育の授業も無事終わり体育館を出ようとしたその時だった。

微かな妖気。

意識していなければ見過ごしてしまう程小さなもの。

小さな妖気だから弱い妖怪とは限らない。

大物の妖怪になれば妖気を消すことだって可能で、もしかしたらこれは誘われているのかもしれない。

それでも神隠しの噂がある以上この誘いに乗らないという選択肢は私の中には最初からなかった。

妖気を辿って行くとそこには小さな祠のようなものが道の隅にありその正面には赤い少し古びた鳥居がある。

鳥居に足を踏み入れた瞬間来たはずの道が消えていた。