この声が聞こえるまで

「た、たいへんです!!悪魔に取り憑かれた人達が次々と運ばれて来て人手が足りません。侑様来てください。」

その言葉で縛られていたものが消えていく。

この人にはきっと私なんて透明人間のように見えていないのだろう。

居ても空気と同じ存在もしくはそれ以下。

最初から分かってたはずなのに何度同じ体験をしても辛さが消えることは無い。

「結…?」

瞬間移動の呪文を使い少し離れた公園へと移動する。

あのまま家に居ても、何もする事も出来なければ足でまといでしかない。

それならせめて仕事の邪魔だけはしたくない。

昨日から今日にかけて妖気がこの街全体を包み込み始めている。

まるで何かの予兆を告げるかのように。