この声が聞こえるまで

「もう、戻っていいよ。」

使い魔は戦闘や、何かあった時に身を守る為に存在する。

その為、使い魔を扱う事が出来る人達はいつも召喚した状態で過ごす。

だけど私は必要な時以外彼を召喚しない。

もう十年はしていなかっただろう。

「ですが…」

「私の命令が聞けないの?」

また、こうやって契約と言う言葉を使って彼に強制的に言うことを聞かせようとする。

「分かりました…。」

納得のいかないのだろう不満げな顔で、それでも逆らうことが出来ず姿を消す。

彼とは禁忌の契約をしている。

だから主人の命令には絶対服従をしなければならない。

彼が消えた場所を少し眺めた後、家へと早歩きで足を進める。