この声が聞こえるまで

「悪く思わないでね。」

彼女の胸を剣が貫く。

耳が痛くなるような断末魔と共に彼女の姿は霧とともに消えた。

彼女が消えるのと同時に、辺りにかけられていた魔術も消え何も無い土地へと変わっていた。

三人の記憶からも今までの事は消えているようで何故自分が此処にいるのか理解出来ていないようだ。

いつもの道まで三人を送り届け誰も居なくなったのを確認し彼の名前を呼ぶ。

「暁(あかつき)、私が命令する以外に勝手な行動をしないで。そう言う契約でしょ？」

暁とは私の使い魔の名前だ。

「分かりました。」

使い魔は契約に逆らうことが出来ない。それを知ってて命令する私は最低だと思う。