『どんな病をも治す花がある』

そんな噂が流れてきたのは、少年が倒れてひと月ほど過ぎた頃だった。

薬のおかげもあってか、少年の病の進行はゆっくりなようで、起き上がれはしないものの、会話も食事もまだ元気にできていた。

少女はその噂にすがった。

きっと少年を治せると信じて、花を探しに行くことにした。

-しばらくの間、あまり顔を見せられないかも

少女の言葉に、少年は病になってから初めて不安そうな顔をした。

-大丈夫よ。あなたにとっておきの贈り物をするためなの