その笑顔を見て、自然と少年の頬も緩んだ。

-どうして笑うの

少女がむっと口を尖らせる。

-笑顔が可愛いから。自然と嬉しくなる

-そう?私の笑顔はうるさいってよく言われる

-知ってる。でも僕は君の笑顔は花みたいだって思うよ。見てたら嬉しくなれる

少年の言葉に少女は照れたように俯いた。

-恥ずかしいこと言うんだね

-本当のことだからね

少年は涼しい顔で言ってのけると少女をそっと抱きしめる。

-これからも隣で笑っていてね

-あなたが隣にいてくれれば、ずっと笑っていられるよ

少女は少年の腕の中でとびきりの笑顔を見せた。

祝福するように、桜が舞う。

2人が15歳の春だった。