ー花をね、探しに行ったのよ

ー花?

ーそう、どんな病気も癒せるんだって

少女はそっと少年の手を握る。

そうしないと泣き出してしまいそうだったから。

ーでもごめんなさい、見つけられなかったの

少女は祠でのことは隠すことにした。

もし仏様が花を授けてくれる前に、少年が力尽きたら傷つけてしまう、とそんな怖い想像をしてしまったから。