霊山は噂に違わず、高くそびえ立っていた。
まだ成人もしていない少女が登れるような山では無かったが、少女は歩みを止めなかった。
来る日も来る日も進み続け、ついに山頂にたどり着いた時には少女は満身創痍だった。
山頂には、花どころか草も生えておらず、ただぽつんと祠があった。
歩くことすらままならないような状態で、山頂の祠に手を合わせる。
ーどうか、どうかお願いします、彼のために花がほしいの
すがるように祠の前で泣き崩れる少女に応えるように、祠が淡く光った。
ーそなたの願い、聞き届けよう。その代わり、どんな犠牲も厭わないと誓えるか?
少女は驚いた。何が何だか理解しないまま頷いた。
少年が助かるならば、厭うことは何もなかった。

