抉られるようなあたまの痛さに、ぼくはゆっくりと目を覚ます。

痛みを緩和するように、うでにつめを突き立て、かきむしった。

ぐじゃ、ぐじゃ と表皮がはがれ、
真皮がぼくを出迎える。

靉靆たる空間に傍観者の讒謗がひびく。

虚妄を真とされ、あの男をおもいだした。

「ころす」

「ころす」

「ころす」

ぼくは、くりかえす。

拘束具をひきちぎり、駆けだす。

(だれかが、くる)

(あいつが、くる)

「にげる、にげる」

「上のほうに、にげる」

蕩けたのうみそで、ベタベタ の澆薄な顔のコンクリートを走る。

ぐぽぐぽ と憂節を感じとる首が鳴った。

傍観者たちはこう言うのだ。

「母親」

「父親」

「女」

「男」

(だまれ)

(だまれ!)