「言っちゃったわけだし、返事聞かなくて良いの？」

「少し心を落ち着かせてから聞きた「成実！」


低い声が重なってきて視線をずらすと、成実ちゃんの後ろには少し息を切らしたアツヒロ君。

目の前の成実ちゃんは振り返った姿勢で固まっている。


「俺のこと、好きなのか？」

アツヒロ君の質問に赤の絵の具を溢したくらい鮮明に顔を真っ赤させた成実ちゃんはゆっくりと小さく頷いた。


「じゃ、付き合う？」








あれから教室は成実ちゃんとアツヒロ君の告白劇で大盛り上がり。
二人はめでたく付き合うことになった。


「今日からアツヒロとお昼食べることになったから、ごめんね！」

成実ちゃんは笑顔で私達に手を合わせて謝ると、笑顔のままアツヒロ君の下へ走っていった。


「成実ちゃんが居なくなっちゃって少し寂しいね」

今日からランチの仲間が減っちゃうのは寂しいけれど成実ちゃんが幸せなら良いんだ。


「私は応援してる気持ちより、心配の方が大きい」

唐突に紘子ちゃんが心配そうに呟いた。

「え？」

心配って何で？

「だからこの前、諦めるようにフッかけたんだけど。逆効果だったな」

「もしかして、トイレの前で二人が揉めてたこと？」