一期一会

「でもさ、イケメンで更に歌も上手かったら、俺達勝ち目無いし?」

「確かに、確かに」

ウンウンと頷く男子達。

「これでプラマイゼロじゃねぇ?」

アツヒロ君が言うと、

「いや、まだまだ勝てないでしょ」

ツッコミを入れる成実ちゃん。


私もそう思います。

その時、聞き覚えのあるメロディが。


「次、瑞季ちゃんだよね」

紘子ちゃんからマイクを渡されて、仕方無く受け取る。

知らない男子の前で歌うのも緊張するけれど、中原君の前で歌うことが何十倍も緊張する。

マイクを持つ手が汗ばんできた……。


そして私が歌っている間、何故かみんな無言。
それが余計に私を緊張させた。

曲が終わって「ふぅ」っと安心して一息つくと、


「瑞季、うますぎ!!」

成実ちゃんが叫ぶ。

「えっ?」

「俺、聴き入っちゃった……」

クラスメイトの男子……えぇっと確か後嶋《ごとう》君が驚いた顔を向ける。

「歌手になれば?」

と紘子ちゃんまで。


……そんな褒められると照れます。