心を決めて、恐る恐る手を伸ばして扉を開けると飛び込んできたのは、少し抑えられた雑音とこちらを見る人達の目。


緊張はマックス。


勿論振り向いた人達に知り合いは一人もいないので、振り返った人達は私を一瞥だけして視線を戻す。

自分を落ち着かせるためにふーっと息を吐いてから辺りを見渡すと、前にある黒板に名前と席順が書いてあったのでその通りに席に着いた。

席につくと心臓の音を抑えるために、また深呼吸。

隣の席の女の子は前の席の子と同じ中学なのか、話をして盛り上がっていた。


『歩み寄ることも大切』


理沙ちゃんの言葉を思い出して話しかけようと何度も試みた。


でもやっぱり人見知りで小心者の私は誰にも話しかけることも出来ず……。


今頃理沙ちゃんは私との約束を守って頑張ってるのかもしれないと思うと心が痛んだ。



結局私は担任の先生が来るまでじっと座っていることしか出来なかった。