亜由と勇馬が「アンタには言われたくない」とか「真実じゃん」とか、またコントを始めたところで理沙ちゃんがはぁっと溜め息をついた。


「まぁ二人は放っておいて……初めての人は怖いかもしれないけど皆一緒だよ？私も初めての人は苦手だし、偉そうなこと言うけど、仲良くなりたかったら瑞季から歩み寄ることも大切だよ？」

「うん、そうだね……」


理沙ちゃんからごもっともなお言葉を頂いた。


「私も頑張るから瑞季も一緒に頑張ろう？」

「うん……頑張ってみる！」


理沙ちゃんに勇気をもらったところで高校の門に辿り着き、クラスの違う皆とは別れて一人で教室へ向かう。

足取りはかなり重い。


「……まず隣の女の子と仲良くなろう……」

呪文のように口から出して自分に言い聞かせた。


教室に近付くにつれ、周りにも聞こえるんじゃないかってくらい緊張で心臓がバクバク言い始める。

そしてあっという間に十三組の教室前。
一番端っこだけれど一階にあるのですぐに着いてしまった。

私は扉の前で立ち止まり、胸に手を当てて深呼吸。