「お誕生日おめでとう……」

私は気持ちをたっぷり込めて彼に板ガムを両手で渡した。


「ありがと。大事に食べる」

彼を見上げると優しい顔でこちらを見ていた。
その視線に一気に顔の温度が上昇したのを感じる。


「西野はいつ?」

「え?」

「誕生日」

「ご、五月だよ」

「来月じゃんーー……ってか、お前等その顔気持ち悪い……」


ん?お前等……?


「わっ!」


横を見ると、こちらをニヤニヤしながら成実ちゃんとアツヒロ君が見ていた。


「ねぇ、私達もいること忘れてない?」


……はい、完全に忘れてました。ごめんなさい。


「アツヒロ。まずどこ行くんだ?」

すると中原君は動揺もせず、アツヒロ君と歩き出した。