「今日は私の恋が上手くいくよう助けてくれない?カフェはまた今度紘子も誘って行こう?この埋め合わせは必ずするから」

成実ちゃんは手を合わせてお願いのポーズ。
そう言われたら怒ることも出来ない。


「うん、わかったよ……。でもそれならわざわざ此所で待ち合わせせずに、解散場所から皆で来れば良かったのに」

「一応、楠木のこと警戒しないとなって思って」

「あ……成る程」

確かにあれから無反応だからといって、中原君と彼女の目に付くところには居たくない。


「許してくれてありがとね!じゃ、頑張ってくる!」

成実ちゃんは笑顔でアツヒロ君の方へと元気に走っていった。


「沼尾、西野に俺達が来ること話してなかったのか?」

成実ちゃんが離れると中原君が私の所に来た。
私の反応で気付いたようだ。

「中原君は今日のこと、聞いてた?」

「勿論」

私が来ることを知っていて来てくれたことにホッと胸を撫で下ろす。