成実ちゃんの言葉に被さった聞き覚えのある声に反応し、声のした方へ顔を向ける。


「中原君！？」

何故か目の前に彼が立っていた。


……もしかしてこの前言っていたお楽しみって……


「ダブルデートだよ」

「…………」


彼女に耳打ちで言われた言葉に私はフリーズ。
すると成実ちゃんは固まったままの私の肩を引き寄せて更に耳打ち。


「嘘ついてごめんね？アツヒロと二人っきりで出かけるのは、まだ恥ずかしくってさ～。瑞季を入れて三人だと、アツヒロと話したこと無い瑞季が可哀想かなって思って。だから瑞季と仲の良い中原君を誘ったの」

「それならそうと言ってくれれば良かったのに……」

「だっていつも瑞季に中原君関係の話すると、不機嫌になっちゃうからさ。アツヒロと出かけたかったし、中々言えなかったの」

「……」


それはいつも成実ちゃんが私達のことをからかうからであって。