「瑞季、本当に高校ではバスケやんないの?」

勇馬が訊かれてドキリと心臓が跳ねたが、私は平静を装って返す。

「うん。高校では放課後の青春をのんびりと謳歌しようと思って」

「教室に入る前からテンパってんのに、青春を謳歌する友達作れるの?」

核心をつく言葉が返ってきた。

「うっ…痛いところ突きますね、ダンナ……」

私はお腹をわざと押さえて苦しむフリをしながら返した。

「誰がダンナだよ」


勇馬とは小学一年生から六年生までクラス替えがあっても一度も離れたことの無く、唯一ずっと一緒のクラスだった。
四年生の当時の担任の先生に、『西野さん、運動神経良いのに帰宅部なんて勿体無い。部活何か入らない?』と薦められた時に当時から仲の良かった勇馬に相談したら、『バスケ部に来いよ』と言われて、帰宅部で暇を持て余していた私は四年生の途中からバスケ部に入部した。
中学でもバスケ部で一緒だったから結構長い付き合い。

だから高校でもまた一緒にプレイ出来ると思っていたんだろうな。

ごめんね。
でも私はもうやりたくない。

私がやりたくない理由を知ったらきっと彼を傷付けてしまうから、私だけが我慢して一生黙っておこうと心に決めている。