その次の日。

彼の机の上には花瓶が飾られていた。

皆暗かった。

授業どころじゃなかった。




それから彼が居なくなって一週間。

少しずつ皆に笑顔が戻ってきた。

私も少しずつ食欲が戻ってきた。

彼の荷物が一切無くなっていることに気付いた。

私達みたいに誰かが持って行っちゃったのかも……。

噂で聞いたがどうやら十組にも中原君のことを好きな子がいて、その子はショックで学校を休んでいるらしい。




冬休み。

私は誰にもバイトを辞めたことを告げず、声が掛かってもバイトがあると嘘をついて引き籠っていた。

皆とは会っていない。

代わりに皆からは年賀状が届いた。




始業式。

彼の机が無くなっていた。

見ると思い出してしまうから、皆のためにもその方が良かったと思う。

十組の休んでいた子は出てきているようだ。

どんな子かもわからないけれど元気になって良かった。




四十九日。

香織がお線香をあげに行こうと提案したので皆で中原君の家に行った。

彼のお母さんから彼が使っていた学校までの電車の定期と日頃使っていた黒い折り畳みの鏡を貰った。

どうやら財布のプリクラを見たのか私の顔を覚えているようだった。

帰りに事故現場まで行った。

そこは信号も付いていない交差点だった。

私達は電信柱にお花を添えた。