「瑞季はまだ落ち込んでるの?」

重すぎる溜め息をついた私に友人その一が言った。

今にも泣きそうな私の名前は西野瑞季《にしのみずき》。


「当たり前じゃん!皆一組なのに、何で私だけ十三組!?しかも教室も階違うし遠いし!?しかもしかも私すんごい人見知りだし!?」

誰のせいでもないのに逆ギレする私。
実は私は極度の人見知りなのだ。


「私からしたら羨ましいわよ~。だってクラス全員が他人で新しい出会いしかないじゃない?もっとポジティブに考えなさいよ~!」

友人その一は私には重大な悩みなのに、あっけらかんと笑って返した。

「人類みな兄弟の亜由と一緒にしないでよ…他人事みたいにさ……」

「だって他人事だもーん。あはっ」

「亜由~……」


私をイラッとさせるように笑う友人その一の女の子は谷崎亜由《たにざきあゆ》。

どん底に落ち込んでる私に更にテンションが下がる言葉を投下してくるが彼女に悪気は一切ない。
むしろこれが彼女のコミュニケーションの取り方。
きっと私に心を許してくれているからこそ、わざとおちゃらけて弄ってくるのだと思う。