「お前ら、本当にそっくりだよ……」


そっくり……


中原君がすぐに私の性格を手に取るように分かったのは、私に似ていたからなのかな。


臆病で、

自分の思いを伝えるのが苦手で……



「そうだね……。アツヒロ君、ちゃんと教えて、くれたのにね……」



他のクラスは授業をしていたけれど、周りのことなんて気にすることもなくただ泣いた。


私達はひたすら、ただただ泣いた。


それしか出来なかった。






その後の私達のクラスは授業が出来る状態では無かったため、一限目のチャイムのあと先生が今日の授業は終わりだと告げた。




「中原君の想い出を何か貰おう」

帰らずに教室に残っていた私と成実、紘子、香織。
沈黙の中で突然香織が言った。


「え?どういうこと?」


香織は成実の呟きに返事も返さずに中原君の机に向かい、突然机の中を漁りだす。
皆、彼女の行動を無言で眺めていた。


「これ。貰って行こう?」


そう言った香織の手にはペンケース。
そして私達の所に戻るとペンケースのファスナーを開け、私に差し出した。


「え?」

「まず瑞季から」

「うん。そうだね。瑞季から」

成実も頷いて言った。