「やめろ!成実!」

アツヒロ君がそんな成実を制止する。


佳苗ちゃんは成実の言葉にその場に泣き崩れる。


私はその様子を座ったまま呆然と眺めていた。


「ずっと、言えなくてっ。いまさら、本当に、ごめんっ。ごめんねっ」


佳苗ちゃんは泣きながら謝り続ける。


きっと、ずっと嘘をついた罪悪感に苛まれていたんだろう。


「ごめん、瑞季…私も、謝らないと、いけない……」

成実が声を震わせながら呟いた。

「成実?」

「中原君、ずっと瑞季に、話しかけようと、してたっ。でも、私、勘違いして、中原君を、瑞季に、近付かせないように、ジャマしてたっ」


え?


成実は泣きながら続ける。


「私が、邪魔しなければ…こんなことには、ならなかったかも、しれないっ……」

「違う。成実のせいじゃない」


アツヒロ君が成実の背中を擦りながら宥めるように言うと、急にアツヒロ君は私の方へと振り向く。


「智也はずっと話し掛けようとしてた。今日、絶対に西野に話し掛けるって俺に言ってたんだ」

「え……?」


アツヒロ君は私の目をしっかりと見て言った。


「……そんなこと、なんで……?」


なんで、アツヒロ君がそんなこと、言うの……?


私と中原君のことを……。