「ミズキちゃん……」


名前を呼ばれ振り向くと佳苗ちゃんが居た。
彼女の目はすでにパンパンに腫れ上がっている。


「……私が、悪いんだ……。綾那のためって、嘘、言ったから……」

「え?」


そう言った彼女の表情はどんどん曇っていく。


「ナカトモが、綾那を気になってた、なんて、嘘だったの……」


嘘……?


「ナカトモにも、ミズキちゃんは、何とも想ってないって、追い討ち、かけた……」


え……。


そう言って佳苗ちゃんは俯く。


「そういうことか……。あの日、智也が合コンの幹事したのは後嶋のため。アイツが好きな子がいるからって強引に言われたから。たまたま後嶋の好きなヤツのダチが綾那って子だっただけ」

アツヒロ君は納得した後、淡々と説明するように言った。


え?


「二人は付き合ったけど、でも、やっぱり綾那とはすぐ、ダメなって……。ごめん……ずっと、瑞季ちゃんが、ナカトモと…話してない、ところみて、きっと、私の、せいだって、思ってっ」

佳苗ちゃんは表情を苦しそうに歪ませる。


「何でそんな嘘ついたわけ!?悪いと思ってたなら、二人に言えば良かったじゃないっ!」


その佳苗ちゃんに成実が責め立てるように怒鳴った。