数秒後、佳苗ちゃんが声をあげて泣き出した。


「今日の夕方からお通夜があります。明日はお葬式です」


周りから泣き声が聞こえ始めた。


「彼が天国に行けるように、皆で中原君を見送りましょう」


私は後ろの席の成実の方へと振り向いた。


「びっくりしたね……」

目があった成実は私の顔を見て驚いている。


「いきなり、お別れだって……」

私はそんな成実には構わずに話し続ける。

口は勝手に動いている。


「一緒に向かわない?」

なぜか笑っている私。


「紘子も一緒にーー「瑞季!」


成実は話し続ける私を制止した。


「泣いても、良いんだよ?我慢しなくて、良いんだよ……?」


成実は苦しそうに顔を顰める。


その表情にふと気付く。


もしかして私の気持ち、知っていたの?


「私、成実に、言ったこと、ないよ?なんで……?」


いつから?

この気持ちを誰にも話したことはない。


「瑞季みてたら、わかるよっ」


成実の瞳からは涙が幾粒も溢れだす。


何で私の気持ち、知っているの?