一期一会

どうしたわけ……?




「西野先生、また勉強会してもらえますか!?」

「え?」


あれだけの間の後に出てきた言葉に拍子抜けさせられた。
もっとぶったまげた事を言われるかと思ったから。


「別に勝たなくても、やるなら勉強会参加するよ?」

「……智也が居なくても?」


アツヒロ君の口から出てきた予想外の名前に目を見開いてしまった。


「……うん」

私はなんとかすぐに表情を戻して返事を返した。


「マジで……?」

アツヒロ君はこれでもかってくらい目を見開いて驚いた顔。
何故にそんな驚くわけ?


「マジだよ」

これは本当。
中原君が居なくても教えても良いかなって思う。
前回教えた時、意外にも真面目にやっていたから。


「じゃ見てろよ?一番でゴールしてやるぜ!」

すると先程まで変な間を作っていたのに、突然元気になったアツヒロ君。

「調子に乗ってゴール前で転んで怪我しないようにね」

「酷いな、お前……」


アツヒロ君はアンカーだ。
寝ていたせいで勝手にアンカーにさせられた。

仕方ないから応援してあげるか。


一学年の対抗戦。
クラス毎なのでリレーはそれなりに盛り上がるらしい。

アツヒロ君ってアンカーだけれど足は速いのだろうか?


ピストルの音と共に飛び出した十三人。