一期一会

「瑞季……」

その時、成実が私に声を掛けてきた。

「ん?どうかした?」

振り向くと成実は少し真面目な顔をしていた。

「ううん、なんでもない」

成実は首を振って笑顔で言うとグラウンドに目を移した。


どうしたんだろう…………あっ、あれ、勇馬だ。

成実の様子を窺っていたら、視界に久々に勇馬が入った。
気付いたのが走り出した後だったこともあるけれど、勇馬も一瞬でゴールした。

相変わらず速いな。


『女子一〇〇メートルの選手は入場ゲートに集合して下さい』

そこにアナウンスが流れた。

あ。私の番だ。
かったるい……。

そう思いながら向かい、ゲートに着くと声を掛けられる。


「瑞季も一〇〇メートル出るの?」

そこには久々に見る亜由だった。

「もしかして亜由も?」

「モチのロン!」

笑顔でピースサインを作っている。


亜由と同じレースだったら嫌だなぁ……。


それなのにレース毎にわかれて並ばされると隣には亜由。