一期一会

はぁ……。

何で彼のことになると私はこんなにも臆病になってしまうのだろう。


もうすぐ彼が似合っていると言ってくれた夏服の季節が終わろうとしていた。






ぐが~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……


このクラスにはもう定番のBGM。
今日も見事にアツヒロ君のイビキが教室内に響き渡っていた。

でもこの授業、寝たくなるの少しわかる。

科目は理科。
担当の先生が嫌味ったらしくてそれが凄く鼻につくから。

その先生の話を聞いていることに疲れてきた私は、ノートの空いているところに理科の先生の似顔絵を描き始める。

髪禿げてるし、絵にしやすそうって思ったら、その通りだった。

私は授業もそっちのけで夢中で描き続けていた。




「うまっ!」

その声に私は我に帰った。
いつの間にか授業は終わっていて、香織に描いていた絵を見られてしまった。

恥ずかしさのあまり、絵を手で咄嗟に隠した。


「それ、さっきの理科の前橋でしょ?そっくり!」

「うん……」

人に見せるのは……というか見られたのは初めてで恥ずかしい。


「瑞季、香織に見せたなら私にも見せなさいよ!」

そう言っていつの間にか私の所に来ていた成実が強引に落書きを隠している手を退けた。
いや、『見せた』わけではなくて、『見られた』だから……。