教室に戻るといつもの喧騒が戻っていた。
小野田さんが私達に気付き、こちらに駆け寄って来た。


「まさか西野さんが助けるとは思わなかったよ」

驚いた顔で私に言った。

「今日の帰り、時間ある?楠木さんと話し合いしよう」

私の言葉に小野田さんは更に驚いた表情を浮かべる。

「え…時間はあるけど……あの子と話すことなんてもう無いよ」

「楠木さんが話したいんだって。昨日言い合いしたメンバーの子達にも声掛けて貰えるかな?」

「わかった……」




次の放課、楠木さんを保健室に迎えに行った。


「あの時は、ごめんなさい」

彼女は私を見ると頭を下げて謝った。


彼女が私にしたことは消せないけれど、少しだけ許せる気がした。


「楠木さん、帰り時間ある?ってもう勝手に小野田さんに話しちゃったんだけど、放課後に小野田さん達と話をしよう」

「わかった……」






そして放課後。


「ごめんなさい」


私達しか居ない教室で頭を下げて謝る楠木さんを見て、小野田さん達は呆然としている。

きっとこんな姿の楠木さんを想像していなかったのだろう。
私も味わった敵意剥き出しの楠木さんは今は一ミリも感じられない。

心から反省したのだろう。