「でもこの状況はオカシイと思ったから」

「まぁね。一人だけ泣いてるのに誰も近寄らないしね」

成実ちゃんが返した。

私の言いたいことはそういうことじゃないんだけど。

「小野田さんは?」

私はさっきまで一緒に話していた彼女の様子も気になった。

「私達は瑞季に付いていくけど行く?って訊いたけど、行かないって」

紘子ちゃんが当然だというように言った。
さっきの反応だと、

「だろうね」

「うぅ~……」

私達の会話を聞いていた隣の楠木さんはまた泣き出した。

とりあえず今は楠木さんか。

「保健室行こうか」

私は楠木さんの背中を押して歩くように促す。

「楠木さん、瑞季が優しい子で良かったわねぇ~。私だったら助けず嘲笑ってるよ」

成実ちゃんが煽るように嫌味ったらしく言った。

「うわぁぁんっ!」

少し落ち着いた楠木さんがまた泣き出した。

「な、成実ちゃんっ」

煽っちゃう気持ちも分かるけどもさ!

「まぁまぁ成実が怒る気持ちもわかるけど、落ち着いて」

紘子ちゃんが成実ちゃんにドードーと言いながら落ち着かせてくれた。


「楠木さん。私は流石に貴女のこの状態は可哀想だと思う」

「西野さん……」

私がそう言うと楠木さんは驚いた顔をして私に顔を向けた。


「でもだからと言って楠木さんのしたことは許せないから」