きっと皆、不思議に思っている。



「楠木さん、大丈夫?」



被害に遭った人が何でって。



「え……」



ほら、本人だって驚いている。



「とりあえず教室出る?保健室すぐそこだし行く?」



きっと中原君も驚いている。
彼の方を見る勇気は無いけれど、この教室でこの状況を見ているだろうから。


あれだけ泣かされたのにって呆れているに違いない。



「うわぁぁああん!」



泣き崩れる彼女の背中に手を回して席を立つように促した。

皆、私達を見ていたのだろう。
身体中に沢山の視線を感じたが、そのまま私達は一緒に教室を出た。


「瑞季!」
「瑞季ちゃん!」

呼び止められて振り返ると成実ちゃんと紘子ちゃん。
後ろのドアから私達を追いかけて出てきた。


「瑞季が良い人すぎて分かんない」

成実ちゃんは目を見開いて呆れた顔。