一期一会

「暑すぎると脳みそ回転しないよね……」

「うんうん……」

「だね……」

私の言葉に二人は気だるそうに頷いた。


ガラッ!


勢いよく前の扉が開く音が聞こえた。

誰かと思い、顔を向けるとそこにはアツヒロ君。
鐘が鳴る時間かと思い、時計を見るとチャイムが鳴るまでにはまだまだあった。
アツヒロ君は席に着くと私を手招いて呼んでいる。


「瑞季~、アツヒロ呼んでるんじゃない?いってらっしゃ~い」

これまたデジャヴ。

私は仕方無く立ち上がりアツヒロ君の元へ。


「西野様!勉強教えて下さい!」

「は?」


またゲームかと思ったのに、アツヒロ君の口から出て来た言葉は正反対のものだった。
目の前のアツヒロ君は私に両手を合わせてお願いのポーズをしている。


「熱でもあるの?保健室に行った方が良いんじゃ……」

「ありません!『しんけん』と書いて『マジ』です!」

意味不明……。

「テスト範囲は分かってるの?」

「これです!」

気合の入った声で返事をしたアツヒロ君は範囲表を私に見せた。

あのアツヒロ君がテスト範囲のプリントを持っている。

どうやら本気らしい。