一期一会

「びっくりした。西野、速いから」

中原君も三位になるとは思わなかったのか驚いている。
私自身も驚いているくらいだからね。


「えへへ……頑張ってみた」

私が少し照れながら返す。


「三位、おめでと」

すると彼はとびきりの笑顔で言ってくれた。

その顔にきゅんと胸の奥が高鳴る。

その笑顔、三位のご褒美!
あぁ…頑張って良かった……。




それから休憩後の午後の部も、中原君に見られているんじゃないかってずっと気が抜けなかった。
全種目終えた頃には身体はクタクタだった。
次の日は笑えるくらい身体中が筋肉痛になった。






蝉の鳴き声が聞こえ始めた七月。
二度目のテストが近付いてきていた。


「今日からテスト週間か~。もうすぐテストだね~。イヤだなー……」

紘子ちゃんは暑そうに下敷きで仰いでいる。

「暑いし、やる気失くす~……」

成実ちゃんは机に腕を乗せて、そこに頭を凭れかけてだれている。

「水浴びしたいよね……。プール入りたい……」

私も気だるそうに呟く。

「ホントにね~……」

成実ちゃんが同意した。

私達の高校にはプールが無い。
水着姿を他人に見せるのは抵抗があるのでプールの授業が無いことは嬉しいが、こういう猛暑日には入りたくなる。