「ペンギンの傘、使ってないの?」
二人で傘をさしながら駅へと向かう途中で中原君が私の傘を見ながら訊いた。
「うん。折角貰ったけど壊しちゃったら嫌だから」
中原君に貰った傘は今私の部屋に置いてある。
だって宝物だもん。
「使わないと勿体無いじゃん」
中原君は目尻を下げながら笑う。
「良いの。所有権は私にあるんだから」
私はニヤリと笑ってみせた。
「あそこ、席空いてる。座ろ?」
駅のホーム、電車が来て二人で乗り込む。
私は空いている席を見つけて彼と二人で並んで座った。
あ……今、中原君の腕と触れた!
電車が揺れる度、触れ合う腕。
真横の中原君へと振り向くと、顔まで三十センチくらいとかなりの至近距離。
「ん?どうかした?」
その距離に私の心臓はいつも通りに速さを増していく。
少しでも触れるだけで、
顔を見つめられるだけで、
こんなにも私をドキドキさせるのは中原君だけ……。
「何でもないよ……」



