一期一会

「瑞季、気を付けなよ?」

「へ?何を?」

成実ちゃんは戻った瞬間、真剣な顔をして私に言った。

「カナのこと。あとあの子」


カナとは河本さんのこと。
河本佳苗だから、カナ。

アツヒロ君との一件以来、二人は仲良くなっていた。


「あの子?」

「カナの友達が中原君のこと狙ってるって言ってたでしょ?あの子、十一組の潮田綾那《しおたあやな》のことだよ、きっと」

成実ちゃんは廊下に目を向けた。
彼女の視線の先には、理沙ちゃんにも負けず劣らずな美人な女の子。


「だって回りに男の子何人かいるのに中原君しか見てないし。それにあの子のこと、美人だって男の子が噂してるくらいだよ」

廊下に向けていた視線を成実ちゃんに戻して私は答えた。

「へぇ~」

「へぇ~って…呑気すぎる、瑞季は!カナは良い子だけど、中原君とあの子をくっつけようとしてるから!さっきも瑞季と中原君が話してるところを割り込んでったし!きっとわざとだよ!」

成実ちゃんは鼻息を荒くしている。

「前にも言ったけど私には関係の無いことだよ」

私がそう答えると成実ちゃんから溜め息が聞こえた。

「私も瑞季ちゃんと一緒で、そう思うよ」

どうやら紘子ちゃんは私と同意見らしい。

「紘子~……」

「それに瑞季ちゃんはそういうタイプじゃないよ。そっとしといてあげようよ」