「あー、自習最高。私、数学キライだもん」
成実ちゃんの顔は笑顔でいっぱい。
今の時間は図書室で自習になった。
今日、数学の先生が急遽欠席となったから。
「高校に入ってから更に難しくなった気がするよね」
紘子ちゃんは暗い声で吐き出す。
「私は好きなんだけどな」
「「えー!?」」
二人は私の言葉に声を揃えて驚く。
「数式があって、答えが決まってるところが良いよ」
「なんか瑞季っぽい。あんまり瑞季って話さないから何も考えてないのかと思わせるけど、実は話すのが苦手なだけで周りのことよく考えて上手くいくように計算してる」
「うんうん」
成実ちゃんの言葉に頷く紘子ちゃん。
「……そうかな?」
少し照れながら返す。
二人ともそんな風に私のことを見てくれていたんだ。
「うん。私なんて何も考えずに突っ走って行動しちゃってしくじってるじゃん。私はそんな瑞季が羨ましいよ」
成実ちゃんが私に羨望の眼差しを送る。
「そうね。成実の場合は何も考えなさすぎて悪い男にひっかかる」
そこに紘子ちゃんがツッコんだ。
「ヒドイ…傷はまだ癒えてないというのに……」
成実ちゃんはそう言って胸を押さえて苦しそうな素振りをして見せている。
もう笑い話に出来るくらい成実ちゃんの中では昇華しているようで私は安心する。
先日の河本さんとの打ち合いでスッキリ出来たのかな?



