一期一会

「手、痛くないか?」


私はその声にハッとする。
アツヒロ君への怒りで周りが見えていなかったが、中原君がずっとそこに居たことに漸く気付く。


「大丈夫……」

こんな時に殴られた友人のアツヒロ君よりも、私を心配してくれたことに嬉しくなる。


「殴り返されたらどうするんだよ?しかも相手は男だし」

「とにかくムカついてて……そこまで考えてなかった……」

確かに結構危ないことをした。

「危なっかしいヤツ……」

中原君は呆れた顔で溜め息をついた。

深く反省します。


「俺に言ってくれれば代わりに殴ってやったのに」

「……智也、それはヒドくねぇ?」

静かだったアツヒロ君が恨めしそうに中原君を見る。


「アツヒロ。西野に殴られた事、河本に言われた事、心当たりあるのか?」

「……」

アツヒロ君は固まったまま無言。


「俺もお前の噂聞いたことがある。その無言からいって事実なんだな?」

彼は無言のまま、バツの悪そうな顔。

その顔を見て中原君は溜め息を溢す。