一期一会

「最近、暑いよな……もう夏みたいじゃね?」

彼は暑苦しそうに手で顔を扇いでいる。

私よりも大きくてゴツゴツしたその手に何故か意識は釘付け。


「全然、春が無かったよな」


付き合えたらあの手が私に触れたりするんだ……。


「もうブレザー要らないよな~……」


手を繋いだり……


抱き合ったり……


キスしたり……


「って、話聞いてる?」


中原君の言葉にハッとして、気が付くと彼の顔まで三十センチの距離に。


ぅ…わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


「聞いてます!暑いですよねっ!」


私は焦って誤魔化すようにグラウンドに顔を向けた。


落ち着け、私……!

素数だ、素数……


ん?あれって……


心を落ち着かせようと眺めたグラウンド。
視界の端に小さくだが見覚えのある金色が映り込んだ。