恋に恋して十数年。
未だに好きな人が見つからないまま、私、七瀬 羽衣(ななせ うい)の高校生活が幕を開けた。

「羽衣は部活何入るの?」

「え?」

桜の舞う入学式の日、式を終えた新入生は新しい自分のクラスでオリエンテーションの為に待機していた。

そこで私に声を掛けて来たのは、小学校からずっと一緒の四ノ宮 花来(しのみや はる)。こんな私の親友で居てくれる優しい子。

私みたいな引っ込み思案でネガティブ思考の性格とは程遠く、いつも明るく元気な性格。

それなのに私と仲良くしてくれて飽きないのかな、なんて考えてしまう。

「ううん、まだ決めてないよ。花来は?」

「私は中学ん時と一緒でバスケ部かな!」

「…そっか。ほんっと一途だな〜。」

私も何か、夢中に、一途になれるものが欲しい。
羨ましいなぁ、花来は。

私のそんな思いなんて消し去るようにオリエンテーションが始まった。