次の日の朝は、いつもタツミとアッカンベをしたりして笑って通る病院脇なのに、下の階が気になってタツミに軽く手を振るのがやっとだった。

二階の窓は完全にカーテンが閉められ、中を窺い知る事はできなかった。

その日桃は部活を休む事に決めた。

愛子に話すとなぜか珍しく真剣な顔で、
「どんな事があってもおばちゃんと旦那に最後に会いに行ってやんなきゃダメだよ」
と言われたからだ。

授業が終わると桃はたまらず鞄を持って教室を飛び出した。

学校のある高台を桃は必死で自転車で下った。

(どうか間に合ってお願い!)

桃は病院の駐輪場に乱暴に自転車を止めた。