「玲、よかったね!明日、家に帰れるよ」

嬉しそうに語りかけてくる女の人。

それに私を見ながら玲と呼んだ。

「あの…失礼ですが、どなたですか?」

私は凜なのに…

誰かと間違っているのだろうか…?

「何言ってるの?お母さんだよ!」

女の人のお母さんという言葉に驚愕する。

「えっ?」

イヤイヤ…

私のお母さんはもっと太ってるし!

顔も全然違う。

ほっそりとした女の人は私よりは少し年上だろうとは思える風貌で優しそうな人だ。

私の母とは似ても似つかない。

もしかして、まだ夢を見ているのかもしれない。

寝て起きれば、きっと隣に真や夢華達がいてくれるはず。

細やかな願いを抱いて再び枕に頭を沈めた。

「玲?大丈夫?」

私が横になると女の人は心配そうな声をかける。

「少し休ませて下さい…」

小さく返答すると、近くに居るからねと優しい声色で私の肩にそっと触れた。

「母さん、玲も目を覚ましたし、あちらに挨拶に伺おう。」

「そうですね」

男の人と女の人はボソボソ何かを話しながら病室を出ていった。