泪色のキセキ


「えっと…」

名前が分からず困惑してると

「私、霧島夏希。ちょっと話があるんだけど来てくれない?」

「ここじゃダメなの?」

霧島さんは教室を見渡すと

「ちょっとダメかな。ついてきてくれる?」

「わかった」

霧島さんの後ろを追うように付いて行く。

嫌な予感しかしない。

これが男だったらこんな可愛い子に呼び出されて、もしかして告白?!とかドキドキする展開なんだろうけど。

女だからな。そもそも玲と前から接点あったのか?

正反対な感じだけど…

霧島さんに付いて行くと、体育館へ繋がる渡り廊下までやってきた。

あぁ…なんか、ベタな展開が待っていそうだよ。

霧島さんは立ち止まるとくるりと回って私に向かい合う。

「ねぇ、本気で言ってるの?」

「…?何が?」

唐突な言葉に首が曲がる。

「記憶がないって事」

「無いけど。えっと…霧島さんだっけ。悪いけど霧島さんの事も何も覚えてない。ごめんね」

「私たち、友達だったのに?」

「……」

いや、嘘だろ。

「なんてのは嘘だけど」

だろうな。

別に吃驚もしないっての。

「何が言いたいの?」

聞いてみたけど、何となく答えはわかってるんだよね。

朝、絡んできた時から玲とは何かしらあるなとは思ったし。

この感じだといじめっ子といじめられっ子の立ち位置なんだろうな。

「記憶が無いならしょうがないけど。あんまり目立つ事しないでくれる?」

「?何で指図されないといけないのか分からない。何が目立つ事なの?」

今後、面倒くさい事になる事は承知で食らいつく。

「分かんないの?」

可愛い顔が台無し。

すっごい睨んでる…

「私は可愛いの!ちやほやされるのは私だけでいいの!七瀬さんは今まで通り地味でひっそりといればいいの。分かった?」

自分で可愛いって言っちゃったよ。

それにライバル視してるってことだよね?

私の事も可愛いって認めてるって事?!

「ふふっ…なんか…ありがとう」

霧島さんの発言が可笑しくて、笑ってしまった。

「何が可笑しいのよ?私は真面目に言ってるんだからね!」

「うんうん。分かってるよ。霧島さんは可愛いよ。別に霧島さんのポジションを取ろうなんて思ってないし。玲は玲で居たいだけ。別に男に媚び売ろうとも考えてないし。まぁ、好きな人できたら分かんないけど。玲は玲がしたいように生活したい。なので一々、霧島さんの顔色を伺って何かをすることは出来ません。それに霧島さんともこれから仲良くなれたらいいなって思う」

「はぁ?ばっかじゃないの!仲良くなんか出来るわけないじゃない!アンタは苛められてるんだから!」

おふっ

やっぱりそうだったか…