泪色のキセキ


「はい、来てます!」

手を上げてここにいるアピール。

先生と目が合うがすぐに逸らされ、

「おい、七瀬玲」

再び玲の名を呼ぶ。

「だから、ここにいます!」

上げた手を左右に振って先生の目線を私に戻す。

「本当に七瀬かぁ?」

疑心の目を向ける先生。

まぁ、中身は凛ですけど。

「これで分かりますか?」

何かイラっとしたけど、さっきの男の子がしてたようにピンで止めた前髪を下ろして目元を隠し、背中を丸めて見せた。

「あ~、七瀬だな。」

玲だと認識した先生はわざとらしく咳払いをした。

「え~と、七瀬は冬休み中に事故に遭って、今の七瀬は記憶喪失だそうだ。色々と不便な面が出てくるかと思うが、記憶が戻るように皆も協力してやって欲しい」

先生の話を聞いた皆は、マジかよ~と声を上げる。

その声を聞いて私は席を立った。

「先生が言ったように今の玲には記憶がありません。皆の事も何も覚えていません。沢山、迷惑かけるかもしれません。面倒だと思うかもしれません。でも玲は一から皆と友達になりたいです。これから宜しくお願いします!」

深くお辞儀をしてから皆の様子を伺う。

困惑してる子、無関心なのか寝てる子、周りとヒソヒソ相談する子。様々な反応がそこにはあった。

「新しい七瀬は良く喋るな」

重い空気を破ってくれたのは前の席の宗介だった。