泪色のキセキ


宗介と教室前まで着くと、緊張がピークに達する。

高鳴る鼓動を抑えようと深く深呼吸をした。

「七瀬、お前の席、俺の後ろだから」

宗介はそう言うと、教室へ入って行った。

着いてこいって言われてる気がして宗介の後を小走りで追う。

「おはよ~橘!」

宗介が教室へ入るとクラスメイトが挨拶に駆け寄ってくる。

「おう、おはよ」

宗介は普段と変わらないであろう挨拶を交わす。

「お、おはよっ!」

ここも宗介に続いて挨拶をしてみる。

「…ん?なぁ、橘。この子誰?」

宗介に声をかけた男の子は私を凝視する。

「はぁ?七瀬だろ」

「はぁ?七瀬?七瀬ってあの七瀬?いつもこんなな?」

男の子は身振り手振り玲の真似をしている。

背中を丸めてセットしたであろう前髪をグチャグチャにして目を隠す。

「玲って、そんななんだ…」

何だか悲しくなった。

「え~七瀬さんなの?どうしたの?イメチェン?」

私達の周りにクラスメイトが群がってくる。

女の子達は怪訝そうな面持ちで私を見る。

「実は玲、」

「事故にあったんでしょ~?災難だったね」

遮って近くにいた可愛い女の子が話しながら私の前にくる。

「体、大丈夫?」

「うん。大丈夫」

心配してるかのように眉を下げて首を傾げて聞いてくる。

おふっ

私の嫌いなタイプだこの子。

自分が一番可愛いと思っていて、自分のことをちゃんとわかってる人。

可愛く見える角度とか、優しさを装うとか。

絶対、腹黒いんだろうな…

そんな分析をしていると先生が教室に入ってくる。

「ほら、席に着け!」

先生の掛け声で一斉に各々の席へ向かう皆。

「宗介。玲、後ろでいいんだよね?」

席に着いた宗介に声をかけ頷いたのを見届けて私も席へ着いた。

「七瀬は来てるか?」

先生は教室を見渡しながら私の名前を呼んだ。

苗字が一緒だからちゃんと反応出来るのが何よりだ。