泪色のキセキ


「送ってくれてありがとうございました」

「おう。帰りは大丈夫だろ?」

「多分…分からなかったら人に聞くし。なんとかなるよ。家の住所もメモしてきたしね」

「ふ~ん。じゃ、頑張れよ」

「はい!」

走り出す蓮の車に小さく手を振り、学校を見上げた。

「ここが玲が通ってる学校か…」

もちろん母校ではないが懐かしさが体中にまとわり付く。

校門から一歩踏み出す。

「ヤバイ…緊張してきた」

肩にかけたカバンの持ち手にギュッと力を込め昇降口へと進む。

「2年3組…2年3組…あ、あった!」

玲のクラスの下駄箱の列を見つけ玲の名前を探すが

「うわぁ…番号か!」

個人名ではなく出席番号だろうか…下駄箱には規則的に番号が連なっていた。

「七瀬だから…20~30番ぐらいだよね…」

20番から一つ一つ開けてみていくしかないか…

20、21、22…

一つ一つ見てみるが…

「名前なんて書いてねぇ~~!!」

高校生だもん。個人の物に名前なんて書くわけがない。

教科書や体操服ぐらいだ名前書いてあるの…

夢華も上履きなんかに名前書いてなかったはずだ…

困ったな…

クラスの人が来るのを待つか職員室へ行った方が早いか…

「おはよ。七瀬」

迷っていると頭上から声が降ってきた。

ハッと首を上げると背の高い男の子が眠そうにあくびをしていた。

「何やってんの?教室、行かねぇ―の?」

「えっと、玲の下駄箱どこだっけ?」

「は?」

あまり開いていなかった目がパッチリになる男の子。

「ははっ。自分の番号、忘れちゃった」

バツが悪そうに頭をかく私。

「27」

「え、あ、ありがとう!」

無事に上履きに履き替えることができた。

「ねぇ、名前聞いていい?」

「はぁ?」

また目を見開く…

「あ、ごめん。玲ね、事故に遭って今までの記憶が無くなっちゃったんだ。自分が七瀬玲って以外全部覚えてないの。だから教えて?ついでに教室に連れって行ってくれると有難い!同じクラスでしょ?お願い!」

顔の前で手を合わせる。