道中は道を覚えようと町並みを目で追う。

「家から学校まで歩いて1時間。お前は毎日歩きで通学してた」

そんな私を見て、蓮は教えてくれた。

「そっか!明日はもう少し早く起きないとだね」

蓮と話すのはちょっと緊張する。

玲の見かけに反して蓮は金髪だし、ピアスも沢山してる。

ヤンキーか?蓮はヤンキーなのか?

「お前、随分と雰囲気変わったな。記憶、戻んなくていいんじゃねーの?」

「えぇ?」

「事故る前は陰気でモサくて何考えてるか分かんなくて不気味だった」

うほっ

「今はちゃんと前見てる感じがする。」

「前髪上げたから?」

「馬鹿か」

「え~ひどい!」

言葉は不器用だけど、今の私を褒められた気がして嬉しかった。

「今日、帰ったら前髪切ろうと思うんだ!」

「へぇ~陰キャラ卒業か?」

「いや、陰キャラとか覚えてないし。今の自分がしたいようにする!」

「じゃ、帰ったら俺が切ってやるよ」

「え?お兄ちゃんが!?」

「はぁ?」

「え?お兄ちゃんが切ってくれるの?」

何だか会話がオカシイ。

蓮を見ると口元を手で抑えて耳がなんとなく赤い?

え~?なんかオカシイ事言ったかな?

「お兄ちゃん?どうしたの?」

「う、うるせーな!俺が切ってやるって!」

声を上ずらせて声量を上げた蓮。

「うん。ありがと」

なんでか知らないが機嫌を損ねたらしい。

その後は何だか気まずい雰囲気のまま学校へ着いた。