家族4人でテーブルを囲み朝食を取る。

焼き鮭に漬物。ご飯に味噌汁。

THE和食な朝食だ。

うちの朝はパン派だった為、新鮮。

「味噌汁美味しい!」

自分が作る味噌汁より深い味がした。

「今まで食べてたものなのに大げさね」

お母さんは嬉しそうに笑った。

朝食を済ませると部屋へ戻り、学校へ行く支度をする。

制服に袖を通すと、コスプレしてる様な感覚に陥る。

「イケナイ事をしてるみたい…」

そうは言っても体は17歳。違和感はない。

長い髪をとかし、邪魔な前髪を上に上げてピンで止める。

「帰ったら、前髪切ろう…」

軽くメイクしようと机の上や周りを探すがメイク道具が一つもない!

「おいおい…女子高生だろ?玲ちゃんよ~」

独り言を零しながら、唯一、転がっていた薬用リップを仕方なく唇に塗った。

「帰りに買ってこよう」

すでに今日やりたい事が増えた。

支度を済ませ、リビングへ行くと蓮がタバコを吸っていた。

「行くのか?」

「ん?」

主語がない蓮の言葉に首を傾げると

「学校だよ!」

「あ、うん。行きます」

怒られた。

「どうせ、学校の場所も覚えてないんだろ?今日は送ってってやる」

蓮はぶっきらぼうにそう言うとテーブルの上の車の鍵とタバコを持った。

「玲、2年3組だからね。学校には話してあるから!これお弁当」

お母さんが駆け寄りお弁当の入ったバックを手渡しする。

「うん。2年3組だね!」

私もクラスを復唱して覚える。

「行くぞ」

連に顎で合図され後を付いて車に乗り込んだ。