キラキラ光る町並みを切るように走り抜ける。

私は事故に遭い、二日間眠っていたらしい。

そして、死神のルウクに出会い、私と助けた女の子、玲と入れ替わった事、その期間は半年。

そして、自分の体へ戻って死ぬか玲として生きていくか選択を委ねられた。

死にたくないと思う反面、この子の人生に割り込むのも失礼だと思う。

だが、すでにその失礼を犯してしまっている。

「願ったのは他人の人生じゃないのにな…」

「玲?何か言った?」

言葉にしてしまったようで助手席から不思議そうに覗き込む玲のお母さん。

「ううん。なんでもない」

運転席には玲のお父さん。

玲の両親には入れ替わったことなんて言えるはずもなく。

玲としての記憶が無い私にはどうしようか悩んだところだ。

まぁ、そこは記憶喪失の振り…というか記憶ないけど、そうするしかなかった。

医者も事故の影響だろうと簡単に言い放ち、生活していれば記憶も戻ってくるでしょうと他人事だ。

玲の両親も戸惑ってはいたが、そこは親だ。

一緒に記憶を取り戻そう!とそのまま受け入れてくれた。

もし…自分の子供が同じような目にあったら私もそう言うんだろうな。

どんな状況でも見た目は自分達の子供なんだから。

結局、病院にいる間、自分の様子を見ることは出来なかった。

結局、自分の体に戻ったとしても死ぬのなら、今も死んでいるのと同じじゃないか。