「えええええ、じょ、冗談でしょ!?それこそ勘違いでしょ!?
アレでしょ、あたしを驚かせてやろうとか言う意地悪な・・」

「だーから、自分に都合よく事実を捻じ曲げるな。
言っただろ、ちゃんと口説く時間欲しいって」

「ほ、本気で・・・?」

「今のところ、結構本気。
篤樹には、中途半端な気持ちで手ぇ出すなって言われたし」

「南野さん・・」

「そこで嬉しそうにされるのも腹立つけどな」

距離を詰めた柿谷さんが、あたしの腰に腕を回した。

急に近くなった彼の真剣な表情に、どうしてよいか分からなくなる。

心臓が爆発しそうに暴れるのはこの状況に対してであって、彼に対しては無い。
決して、無い。

「篤樹が、きみの事なんて言ってたのか知りたい?」

「知りたい」

「なら、金曜時間作ってよ」

「・・・そ、それは・・」

「こういう事したくないけど、俺、色々君のこと知ってるんですけど?」

あの夜、二人でホテルに行ったって事にして営業部で噂流してもいい?

とんでもない悪魔の発言に、あたしは一も二もなく頷いて、金曜日のデートを約束させられた。